企業研修が100名以上の大人数になる場合、発注先の選定に悩むことがあると聞きます。大人数でも円滑に運営できるのか、受講生を一括りにしてしまって問題ないのか、研修効果に個々人で大きな差が出るのはないかなどといったことが、懸念されるでしょう。そこで今回は、大人数での研修経験を積み重ねてきた弊社の経験と運営上の工夫についてお伝えします。
研修の受講者数が100名超という大規模になるケースとは?
「少人数のほうが発言の頻度が高い」「何をどこまで理解しているか確認しやすい」「グループやチームとしてまとまりやすい」など、少人数の研修には少人数だからこそのメリットがあります。しかし、弊社では大人数のオーダーをお受けすることも珍しくありません。その理由は、以下のようなものだと考えています。
- 一律で同じ内容を受講させたい
- 特定のスキルの底上げを図りたい
- 会社の方針として決まった
上から見ていきましょう。
一律で同じ内容を受講させたいというのは、具体的には新社会人向けのビジネスマナー研修や新入社員向けの業界・業種の基礎知識・スキルといったものです。新入社員の数は企業規模や年度によって異なりますが、100名を超える場合もあります。
特定のスキルの底上げというのも、DXやリスキリングなどのデジタルシフトという大きな流れを受けて、大人数でまとめて受講させるケースが増えてきています。例えば、ExcelやWebマーケティングなどです。
会社の方針として決まったというパターンもあります。社長の鶴の一声や経営層の決断など、現場に変革を起こすきっかけとして、研修を実施するケースも見受けられます。全社一丸となって、直面する課題に取り組むという姿勢の表れともいえるでしょう。
大人数で研修を受講させるメリットと課題(デメリット)
次に、研修を大人数でまとめて受講させるメリットと課題(デメリット)を考えてみましょう。
大規模研修のメリット
- 研修を最小限の日数で実施できる
- 日数を少なくすることで準備や運営、管理のコストを圧縮できる
- 研修費用を圧縮できる
- オンライン研修なら、会場までの移動時間や交通費をカット
まとまった人数で研修を受けさせれば、研修日数を短く収められます。日数を最小限にすることで、研修に向けた準備や当日の運営管理などのコストが圧縮可能です。仮に、研修会場をどこかで借りることにすると、そのようなコストも含めて、研修全体の費用を抑えることにつながります。また、オンライン研修にすれば、会場までの移動時間や交通費もかかりません。
主にコスト面のメリットが多いのが、大人数で研修を受講させることのメリットといえるでしょう。
大規模研修の課題
- 一度に多くの従業員が業務から離れる(現場の負担が高い)
- 見るだけ、聞くだけの研修になってしまわないか不安
- 大人数の研修に実績のある会社かどうかわからない
仮に100名規模の研修だとしたら、100名が同じタイミングで業務から離れることを意味します。単日、短時間だとしても、いつもと同じように業務をこなすのは難しくなるでしょう。弊社がこれまで経験した中で、もっとも研修参加者数の割合が高かったのは、従業員数の約1/10をまとめて研修に送り出すというものでした。
人数が多くなると、レクチャーを聞くだけ、スライドを見るだけという座学のような研修になるのではないかという懸念もよくお聞きします。100名超が一堂に会するような大会場で、隅々にまで目を行き届かせ、受講生個々人の理解の均一さを保つのは、難しいと言わざるを得ません。
教育研修会社のWebサイトには、「何名規模の研修を何件くらい受注した」という情報はなかなか出てきません。事例として、上手くいったものが紹介されることはあっても、自社の実績をつまびらかにすることは、善かれ悪しかれ事実が明らかになってしまうからです。
このような課題を克服するために、弊社が100名を超えるような大人数の研修を実施する際には、次章でお伝えする工夫を加えています。
大人数の研修でも成功させてきた実績
ここでは、大人数の研修で成果を上げるための工夫をご紹介します。公開することで真似される可能性もあるかもしれませんが、弊社がこれまで時間や労力をかけて築き上げてきた研修ノウハウは、弊社自慢の講師陣やスタッフの支えがあってこそのものです。
大規模研修で成果を上げるための工夫
- 研修前のスキルチェック
- 基礎編、応用編などのクラス分けによるレベルの均一化
- クラスに応じた目標設定
- 業務に必要なスキルに絞り込んだカリキュラム作り
- 手を動かす演習がふんだんに盛り込まれた研修内容
100名を超えるような大人数の場合、事前にスキルチェックを実施して、クラス分けします。基礎編や応用編など、クラスのレベル感を整えた後で、それぞれのクラスに応じた目標を設定し、研修内容の詳細を詰めていく作業に入ります。
研修内容は、業界や業種によって、当然ながら異なります。それぞれの業務に必要なスキルに絞り込んで、現場に戻ってすぐに役立つ、使いたくなる実践的なカリキュラムを組みます。しっかりと身につけていただくためには、頭も手も動かすことが重要です。そのため研修では、手を動かす演習をふんだんに盛り込みます。
弊社における大規模研修の事例
弊社がこれまでに経験した大人数での研修事例の一部をお伝えします。
- 事例① 新入社員研修(集合方式・1日) 200名
- 事例② 新入社員研修(集合方式・3日間) 150名
- 事例③ Webマーケティング(集合方式・3日間×2会場) 200~400名
- 事例④ 新入社員研修(オンライン方式・1日×2回) 100~200名
- 事例⑤ Excel 研修(オンライン方式・4日間) 150~200名
大規模研修の課題のところで触れましたが、大人数を一度に研修に参加させると通常業務に影響が出過ぎてしまう可能性があります。そこで、1回の研修時間を数時間と短く抑え、複数日に分けて内容を学習するというスケジュールを好まれるお客さまもいらっしゃいます。
復調しつつある企業研修市場を踏まえ一歩先んじた投資を
矢野経済研究所の調査によると、2021年の企業研修サービス市場は、5,210億円と前年比8.1%増となりました。コロナ禍の影響で2020年にはいったんマイナス成長に転じたものの、従来の集合研修に代わりオンライン研修が広まったことにより、復調したとしています。(「企業向け研修サービス市場に関する調査を実施(2022年)」矢野経済研究所(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3041))
これからは、研修内容に応じて集合方式とオンライン方式を適宜使い分けるハイブリッド方式も定着していくでしょう。人口減少にともなう人手不足は緩やかではあるものの確実に進行していますし、新たな価値を生み出せる「人」に対する投資意欲が高まっていくと弊社でも予想しています。このタイミングで、一歩先んじた投資をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
大人数での研修には、大人数ならではのメリットがあります。もっとも大きなメリットは、コスト圧縮だといえるでしょう。現場への負担を配慮しつつ、効率的に実施できる方法でもあります。手前味噌かもしれませんが、弊社には大人数の研修を数多く運営し、成果を出してきた実績があります。もし、大規模研修の発注先にお困りでしたら、一度お問い合わせください。