Googleマーケティングプラットフォームとは、Webマーケティングと広告を連携させ、効率的に顧客とのコミュニケーションを図るためのツール群が提供されるサービスです。今回は、ツール群にはどのようなアプリがあり、何ができるのか、ツールを使うことでどのようなメリットがあるのかについてお伝えします。
Googleマーケティングプラットフォームとは?
Googleマーケティングプラットフォームとは、デジタルマーケティングとデジタル広告を円滑に連携させるためのツール群を提供するサービスです。デジタルマーケティングとデジタル広告の連携とは、マーケティングと広告との両方に使うデータを効率的に取得、加工、共有することだといえるでしょう。
デジタルマーケティングやデジタル広告に携わっている方には、改めて申し上げる必要もないでしょうが、どちらにとっても重要なのは、デジタルデバイスを使う顧客のニーズを、デジタルツールによって掴むことです。Googleマーケティングプラットフォームでは、アクセス解析による現状把握や分析から広告戦略の立案や施策の決定までを、誰もがデータを根拠に語れるようになることを目指しているともいえます。
具体的には、Webサイトやモバイルアプリにタグと呼ばれる計測のための情報を埋め込んだり、アクセス解析ツールを使って取得した生データの中から必要なデータを抽出したり、それをどのように加工してわかりやすく見える化したりするかということです。そのようにして得た顧客のニーズをもとに、Webサイトやモバイルアプリのコンテンツ・操作性を改善し、広告を利用してターゲットに届けます。
社会や顧客ニーズが激しく変化するこの時代、デジタルデバイスの先にいる顧客のニーズをデータから追っていけるようになるのは、企業にとって大きな強みとなるでしょう。商品やサービスの企画開発、製作、販売、アフターフォローなどの、どの局面でも立ち返るべき原点だからです。そのために必要なツールを揃えているのが、Googleマーケティングプラットフォームだといえます。
Googleマーケティングプラットフォーム8つのツール
Googleマーケティングプラットフォームには、全部で8つのツールがあります。どのようなことができるのか、ひとつずつ簡単にご紹介しましょう。
アナリティクス:アクセス解析
アナリティクスとは、アクセス解析のためのツールです。Webサイトを訪れたり、モバイルアプリを利用したりするユーザーが、実際にどのような行動をしているのか分析できる機能が備わっています。
アナリティクスは現在、切り替わりの時期にあります。こちらの記事でも取り上げましたが、2023年7月にはGoogleアナリティクスが、2023年10月にはアナリティクス360(有償版)がサポート期限を迎えます。今後はGoogleアナリティクス4プロパティ(GA4)です。
データポータル:データの視覚化
データポータルは、ほかのツールからのデータをひとつの画面にまとめて表示させることができます。スプレッドシートやアナリティクス、Google広告、Google BigQuery などのデータが連携可能で、データの抽出や変換、加工も簡単にできます。
データの分析や施策の効果測定、次の一手をどのようにするかの決断をデータに基づいて迅速に行えます。また、アナリティクスやGoogle広告と連携し、リアルタイムにアカウント情報を確認できる点も特徴のひとつです。最新情報を確認するために、都度ダッシュボードで更新する必要がありません。
オプティマイズ:検証
オプティマイズとは「最適にする」「最適化する」という意味で、施策を決める際に行う比較テストを実施できる機能です。オプティマイズでは、ABテストや多変量テスト、リダイレクトテストなどを実施できます。カスタマージャーニーの設定やユーザーエクスペリエンスの向上・改善を図るのに必要な機能です。
サーベイ:アンケート
アンケートを作成し、ユーザーの生の声を集められるのがサーベイです。市場調査やマーケティングが、手軽に自社でできるのが大きな特徴で、簡単な調査であればサーベイで回答を集めることができます。
画面からアンケートを作成し、完成したら必要な回答数やアンケート実施の頻度を設定して終了です。回答1件あたりの単価が計算され、表示された料金を支払う必要がありますが、必要回答数を満たすのにかかる時間は、最短3日とされています。
タグマネージャー:アクセス解析に不可欠なタグ管理
タグマネージャーとは、タグ管理のツールです。タグとは、アクセス解析に必要な情報をWebサイトやモバイルアプリから取得するための仕掛けで、タグをHTMLに埋め込むことにより顧客の行動を収集することが可能になります。
このタグを簡単に更新できるツールがタグマネージャーです。複数のWebサイトやモバイルアプリなど、管理しなければならないメディアが複数または多種類になるほど管理や更新の手間がかかりますが、それを一括で自動的に更新できるという点で優れているといえます。
ディスプレイ&ビデオ360:国内最大級の動画広告配信
ディスプレイ&ビデオ360とは、複数の動画メディアへ広告を配信できるツールです。一口に動画広告といっても、アウトストリーム広告やインストリーム広告、デジタルラジオへのオーディオ広告(音声広告)、TVerやABEMAに代表されるストリーミングTV広告(OTT広告)、サブスクリプションの動画配信サービス、タクシー車内の動画広告など、現在では出稿先が多岐にわたります。
メディアごとにそれぞれ広告出稿を管理しなければならないのは煩雑ですが、それを一元管理できるのがディスプレイ&ビデオ360です。メディアミックスの広告出稿や効果測定、最適化までを効率的に行えます。
検索広告360:自動入札
検索広告360とは、リスティング広告のような検索連動型の広告を複数の検索エンジンに出稿する場合に便利な機能を備えています。具体的には、GoogleとYahoo! JAPANの両方に出稿するというようなケースです。
Googleが提供する最新のデータと自動入札を利用して、効果的に広告出稿できます。どこに何を出稿しているかという広告管理や広告の効果測定、最適化も可能です。
キャンペーンマネージャー360:広告の一元管理
キャンペーンマネージャー360とは、Webサイトやモバイルアプリの検索広告・動画広告など、さまざまな広告の管理や効果測定、最適化を一元化できるツールです。メディアミックスで広告戦略を立てている企業にとっては、非常に便利なツールだといえるでしょう。
Googleマーケティングプラットフォーム2つのプラン
Googleマーケティングプラットフォームには、「中小企業向け」と「大企業向け」の2つのプランがあります。その違いは、使えるツールの数と料金の2点です。
中小企業向けプラン(5つのツール・無料)
- アナリティクス
- データポータル(旧データスタジオ)
- オプティマイズ
- サーベイ
- タグマネージャー
原則として無料で提供されるツールによって構成される中小企業向けのプランには、デジタルマーケティングとデジタル広告の連携を行うための基本的な機能が備わっています。提供される5つのツールを活用し、期待する成果を上げることも可能です。サーベイは、費用が発生しますが、調査会社に市場調査を依頼するよりコスト圧縮が可能だといえます。
大企業向けプラン(8つのツール・有料)
- アナリティクス360
- データポータル(BigQuery接続、テンプレート利用)
- オプティマイズ360
- サーベイ360
- タグマネージャー360
- ディスプレイ&ビデオ360(大企業向けプランのみ)
- 検索広告360(大企業向けプランのみ)
- キャンペーンマネージャー360(大企業向けプランのみ)
大企業向けの有料プランには、無料プランよりも高機能な5つのツールに加えて、3つのツールを利用できます。「ディスプレイ&ビデオ360」「検索広告360」「キャンペーンマネージャー360」です。
前章でご紹介していますが、複数の動画広告への出稿(ディスプレイ&ビデオ360)や検索連動型広告への自動入札(検索広告360)をする機能を持つツールを利用できるようになります。また、異なるメディアに出稿した広告の管理や効果測定、最適化(キャンペーンマネージャー360)が可能です。高度なツール群だといえます。
どちらのプランが自社に適しているかを基準に選びましょう。
Googleマーケティングプラットフォームを使う3つのメリット
最後に、Googleマーケティングプラットフォームを使うことのメリットを見てみましょう。要点をまとめると、「現状把握」「施策の効果測定」「モニタリング」の3点になるといえます。
顧客の行動履歴をリアルタイムに把握できる
アナリティクス(アクセス解析)とデータポータルを使えば、Webサイトやモバイルアプリなどの顧客の行動履歴をリアルタイムに把握できます。アナリティクスでは、男女や年代、居住地など、ユーザーの属性と行動履歴というデータを取得可能です。どこから来て、何を利用しどこへ行ったのか、滞在時間はどれくらいだったのかなどもわかります。
これはつまり現状把握で、既存のWebサイトやモバイルアプリなどが思うような成果を上げていない場合に、何が問題なのかを探り出すために欠かせません。現状を把握することで初めて、データに基づいて課題の発見や改善へとつなげることが可能になります。
打つべき施策の迅速な判断やその効果測定も可能
課題の改善には何が有効なのかという問いに、決まった答えはありません。データポータルが示す指標や図表を手掛かりに、ターゲットが求めるものを探り当てていく作業が必要になります。この際、ABテストなどで顧客の反応を確認できるのが、オプティマイズです。サーベイでアンケートも実施できます。
そのようにして集めた顧客の声をもとに、課題解決や改善のための施策をひとつずつ決めていき実施、実装します。施策の効果も明確に数値化されますので、どの施策がどのターゲットに対して効果的だったのかなどの判断もスピーディーに行えます。
長期的な変化を観察できる
課題への対策として打った施策が、その時だけ顧客の心を掴むこともあるでしょう。季節性や流行り廃れの影響を受けることもあります。そのような場合、長期的にモニタリングしていくことで一時の反応だったのかを判断しやすくなります。
必要な情報があれば、タグマネージャーで新たにタグを埋め込み、顧客の動きを見ていきます。社会や技術などの変化を受けて、タグを外すケースもあるかもしれません。いずれにしても、このように顧客の動きを丁寧に追うことができるのは、デジタルだからこそのメリットだといえるでしょう。
その一方で、デメリットもあります。いずれも高度なツールのため、習得のためのコストがかかるという点です。費用や時間などのコストに加えて、使いこなせるようになるためにはスキルを活用する実践も欠かせません。実践の場に移ったときに、習得したスキルを活かせる組織体制が整っているかも重要です。
まとめ
Googleマーケティングプラットフォームとは、デジタルマーケティングとデジタル広告という一連の流れを、スムーズに運ぶためのツール群だといえます。事業内容や規模、ターゲット、認知度、課題などによって、導入を検討するツールは変わるでしょう。
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