新型コロナウイルスの感染症としての位置づけが変わり、アフターコロナの対応が本格的に求められるようになりました。ますます加速するDXの流れの中で、弊社では今、コロナ後の研修ニーズの変化を感じています。今回は、研修ニーズの変化を改めて統計データに基づいて整理し、デジタルマーケティングやリスキリングの重要性を再確認していきましょう。
アフターコロナで増えた研修へのお問い合わせ
2023年5月8日、新型コロナウイルスが2類から5類へと変更されました。例年、冬季に流行するインフルエンザなどと同じ扱いになったことで、国から求められていた行動制限が解除され、感染対策も個人の判断に委ねられるようになりました。
それ以来、研修についてのお問い合わせが増えています。実際のところ、お問い合わせいただく会社の半数以上が、ITデジタル関連の研修やリスキリングを行いたいなどといった内容よりも、アフターコロナを迎えて何かしないといけないという、プレッシャーとも生き残りへの使命感とでもいうものに動かされているのではないかと感じます。
それもそうでしょう。毎日といっていいほど、新聞をはじめとしたさまざまなメディアのニュースにDXやリスキリングなどの文字が踊っていますし、大企業は数百から数千人規模で、自社の従業員に対してデジタルスキル教育を行っています。
しかし、それは一部の企業の話であり、まだまだ手探り状態だと感じています。各企業によって取り組み方には違いがありますし、デジタル教育の正解も異なります。ひとつ言えるのは、コロナ以降、オンラインでのビジネスが不可欠となり、デジタルマーケティングは今後の必須スキルになりつつあるということです。
次章では、改めて、コロナ禍を経て研修ニーズにどのような変化があったのか振り返ってみましょう。
コロナ禍がビジネスにおよぼした影響
公的な統計データを引用しながら、コロナ禍によるビジネスの変化を見てみましょう。
振り返ってみると、コロナ禍は約3年間続いたことになります。新型コロナウイルスがニュースで頻繁に取り上げられるようになったのは、2020年の初頭です。政府からの登校自粛要請に端を発した1回目の緊急事態宣言が2020年4月7日に発出され、まん延防止等重点措置(まん防)を繰り返しながら、感染症としての分類が変わった2023年5月8日までを、一区切りとしましょう。
大きく変化したビジネスのあり方
コロナ禍では、さまざまな行動規制が敷かれましたが、その中でもビジネスに大きな影響を与えたのが「3密」を避けるというものでした。3密とは、「密閉」「密集」「密接」です。換気やソーシャルディスタンス、マスクなどが推奨され、国民一人ひとりの行動変容が求められました。ときに行動制限を受けながら、感染拡大防止への協力が求められたことは記憶に新しいでしょう。
これを受けてビジネスの世界で急速に進んだのが、オンライン化です。勤務は出勤から在宅勤務やリモートワークに切り替わり、販売方法は店頭販売からオンライン販売(EC販売)へと移行しました。共倒れにならないよう、「経済を回す」というフレーズが合言葉のように使われていたことを思い出す方もいらっしゃるでしょう。
EC市場の拡大
経産省が例年発表する「電子商取引に関する市場調査」によると、EC市場はコロナ禍前の2010年代から順調にその規模を拡大してきたことがわかります。約8兆円規模だった2010年度から、コロナ禍前の2019年度までの10年間で、約19.4兆円へと約2.5倍に成長しました。成長率も、年平均10.3%という好調さです。
年度 | 市場規模(単位:億円) | 対前年比 | 備考 |
2010年度 | 77,880 | – | |
2011年度 | 84,590 | 108.6% | |
2012年度 | 95,130 | 112.5% | |
2013年度 | 111,660 | 117.4% | |
2014年度 | 127,970 | 114.6% | |
2015年度 | 137,746 | 107.6% | |
2016年度 | 151,358 | 109.9% | |
2017年度 | 165,054 | 109.0% | |
2018年度 | 179,845 | 118.8% | |
2019年度 | 193,609 | 107.7% | 248.6%(10年間で) |
2020年度 | 192,779 | 099.6% | コロナ禍1年目 |
2021年度 | 206,950 | 107.4% | コロナ禍2年目 |
※数字はBtoC-ECの合計(物販系、サービス系、デジタル系)
※表は経産省の資料をもとに独自に作成
コロナ禍の影響が出始めた2020年度に注目してみると、市場規模がわずかに縮小していることに気づきます。これは、物販系ECの大幅な伸びを主に旅行などサービス業の縮小により吸収したことが原因とされています。
それでも2021年度には、物販系とデジタル系ECの伸長によって、再び成長軌道に戻っています。2022年度以降の数字はまだ明らかになっていませんが、おそらく市場は拡大を続けていることでしょう。
経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html
企業に求められるデジタル対応
このようにEC市場が拡大し続けている状況で、企業に求められるのは、インターネットを介した顧客との関係の(再)構築といえます。オンライン化やリモートワークなどの非対面が進んだことにより、デジタル上でいかに顧客と良好な関係を築くかが課題となりました。
スマホやPCでつながっているという「見えにくい顧客」と、どのように向き合うかということです。目の前にいないというだけで、自社製品やサービスの購入、利用はもちろんのこと、評価をシェア拡散したり、ときには苦言を呈したりもする貴重な存在という点に変わりはありません。
見えにくい顧客の心を知る手がかりは、デジタルテクノロジーにあります。スマホやPC越しの顧客は、個人を特定されないような形でWebサイトやアプリ内にその足跡を残します。そこから、顧客が何を求め、また何を求めていないのかを探る手法がデジタルマーケティングです。
企業はデジタルマーケティングの手法を活用して、顧客とのつながりをより密接に保ちつつ、市場の動向をリアルタイムに捉えることが求められるといっていいでしょう。デジタルマーケティングの手法を活用して、顧客体験や業務プロセスの改善を重ねていくことそのものが、デジタルトランスフォーメーション(DX)といっても過言ではありません。
企業の従業員もデジタルテクノロジーの習得が不可欠
企業の従業員自身も、デジタルテクノロジーに適応する必要があります。これは、従業員が新しいスキルを習得する、いわゆるリスキリングの推進が必要であることを示しています。
2022年10月、政府がリスキリング支援に5年で1兆円の予算を投じたことも、ニュースフィードで取り上げました。このことからも、DXを推進するには、最終的に企業を支える従業員一人ひとりが、今後ますます進むであろうデジタルテクノロジーを習得する必要があると分かります。
デジタルマーケティングとは 、Webサイトを中心としてウェブ広告やSNS、SEOなどを対象とするWebマーケティングを含んだ、動画やスマホアプリなどオンライン上のあらゆるデータを対象とします。IoTやAIなども含まれますので、デジタルマーケティングは、Webマーケティングよりも広範なエリアをカバーできます。
このようなデジタルスキルを学ばせることで、従業員は変化する業務環境に対応し、企業の競争力を維持する上で重要な役割を果たすことが可能になります。データに基づく意思決定ができるようにもなります。顧客体験の向上は、競争力の強化につながります。
企業のDXには、デジタルマーケティングが不可欠で、デジタルマーケティングにはリスキリングが目下の急務です。そして、渡りに船のリスキリング支援コースがあり、弊社は助成金の申請サポートを無料で行っています。このように条件が揃っていることは、そうそうありません。ぜひ、この機会を見逃さずにご活用ください。
人材開発支援助成金(リスキリング)
デジタル人材の育成に特化した弊社の研修サービス
弊社は、デジタル人材の育成に特化した企業研修サービスを提供する企業です。その点が他社とは異なる特徴であるという自負があります。今回取り上げているデジタルマーケティングも、弊社が得意とする分野です。
コロナ禍の影響によりオンライン研修が定着しつつある一方で、事業の分野や業態、研修を受ける受講者によっては、対面とのハイブリッドが好まれるケースもあるでしょう。最適解はそれぞれに異なるのが自然です。
リスキリング支援コースの新設を受けて、原則として弊社では、助成金の支給対象が広い既定のオープン講座の利用をおすすめしています。しかし、より研修効果を高めたい場合には、オーダーメイド研修をご検討ください。
オープン講座
オーダーメイド研修
アフターコロナという岐路に立たされている今、デジタルマーケティングという新しい武器を使いこなすかどうかという決断は、きっと今後を大きく変えることになるでしょう。
まとめ
経営資源には、4つの要素があるといわれています。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」です。そのうち、情報はインターネットで誰もが取得できるようになっていますし、お金はインターネットバンキングやスマホアプリの利用が進んでいます。くしくも「モノ」と「ヒト」のオンライン化が、コロナ禍の3年間によって急速に進んだ格好だといえるでしょう。
アフターコロナの今、オンラインでのビジネスは欠かせなくなり、デジタルマーケティングは必須スキルになったといっても過言ではありません。その分、デジタルマーケティングの重要性が高まっています。デジタルマーケティングには専門知識や技術が必要となるため、リスキリングが必須です。リスキリング支援コースがあるうちに、ぜひご活用をご検討ください。